20日にポリヴェーガル理論のセミナーを開催しました。
ポリヴェーガル理論って何?という方も多いと思うので、私が大事だと思うポイントだけ簡単に説明します。
今まで自律神経は、交感神経と副交感神経の二つで理解されてきましたが、
実はこの副交感神経の8割が迷走神経で、
その迷走神経には背側迷走神経と腹側迷走神経の2種類あることを
イリノイ大学精神医学科名誉教授のポージャス博士が提唱しました。
その迷走神経の役割を述べているのがポリヴェーガル理論です。
ポリヴェーガル理論は実はまだすべて解明されている訳ではありませんが、
ポージャス博士は哺乳類、特に人間が繋がりを育む生き物であることに注目して、
この哺乳類独特の自律神経の働きを研究し、腹側迷走神経の存在を論じました。
つまり爬虫類には背側迷走神経はありますが、腹側迷走神経はありません。
背側迷走神経の主な役割は、私がちが今まで副交感神経の役割として知っていた、
リラックスすることです。
もう一つの大事な役割としては、命の危機にさらされたと感じた時に、凍り付かせる役割もあります。
動物が捕食される瞬間に、死んだふりをする時の神経です。
人がこの神経を使い過ぎると、うつ状態になったり、引きこもりになることもあります。
では腹側迷走神経の主な役割は何かというと、誰かと一緒にいるときに平安や安心感を感じて、
「私も良い。あなたも良い。」と感じられる神経です。
そのため「社会的繋がりシステムの神経」とも言われています。
つまり私たちが人と心地よくつながるためには、この「腹側迷走神経」が働いていることが
とっても大事だということです。
こんなに大事な腹側迷走神経ですが生まれながらに備わっている訳ではなく、
私たちは未熟なまま生まれてきて、25歳くらいまで発達していくと言われています。
ちなみに交感神経と背側迷走神経は生きるために最低限必要な神経として、生まれながらに備わっています。
ということは、腹側迷走神経が十分に発達していなかったら、
私たちは主に「戦うか逃げるか」の交感神経か、
「一人でリラックスする、またはシャットダウンする」背側迷走神経だけを使って生活をして、人と関わることになります。
そうなると、人と関わるときのベースが安心や暖かさを感じるものではなく、
不安ベースになったり、もしくは人との関わりを避けてシャットダウンする
というような関わり方に、無意識になってしまいます。
そのため、顕在意識的にはどんなに「人と仲良く繋がりを育みたい」と思っても
危険に立ち向かったり、自分を守る(防衛)神経が自律的に働いてしまっているので、
なかなかうまくいかないかもしれません。
例えば、人前で話をする時、どんなに頭では「落ち着いて話したい」と思っていても、
心臓がバクバクして、汗が出てきて、自分の意思とは無関係に声が震えてしまうことがありますよね。
私たちは自分の意思や思考で精神をコントロールできると思っていても、身体の反応の方が常に先なんです。
心は嘘をつくことがあるけれど、体は嘘をつけません。
かなり端折った説明をしていますが、ポリヴェーガル理論が
私たち人間にとってなぜ大事なのかお分かり頂けましたでしょうか。
ちなみに腹側迷走神経は、主にメインの養育者との関わりによって、育まれて行きます。
そのためアタッチメント(愛着)のテーマとも関わりが深いんですよね。
私がポリヴェーガル理論が好きなのは、大人にはもう腹側迷走神経が育めない訳ではなく、
「自分の神経系の状態に気づいて、神経系的なアプローチをしていくことで、自己調整できる自分になる」
という希望があるところなんです。
この神経系アプローチは、今までの精神論(ポジティブ思考やアファメーションを唱えるなど)
的なアプローチでは変わることが出来ずに諦めていた人たちにも、
光をもたらしてくれた理論だと思います。
ポリヴェーガル理論を知ったことで、私も以前より自分の状態に敏感になりました。
自分が交感神経やシャットダウンする背側迷走神経になっているなと気づいた時は、
神経系を自己調整するエクササイズを日常に取り入れています。
20日のセミナーでは、ポリヴェーガル理論と愛着の話を織り交ぜてお話しさせて頂きました。
5名の方がご参加くださり、初めてポリヴェーガル理論に触れる方も、本は読んだことがある方も、
理解を深めて日常に取り入れていきたいとおっしゃっていました。
嬉しいご感想を頂いたので、少しご紹介させて頂きますね。
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境界線セミナーの次に受講させていただくことで、自分に対する理解を深めることができました。
Haruさんのセミナーやセッションは、問題を見つけるだけではなく、
これからどうしたら良いのかというお話が聞けるので、毎回感謝しかありません。
個人セッションとセミナーの組み合わせで、たくさんの気づきをいただいています。ありがとうございます。
zoomでの講座を受けるのも初めてのことでしたが、とても快適に講座に参加することができました。
ポリヴェーガル理論だけでなく、愛着の話や、ハルさん自身の体験なども交えた説明がわかりやすかったです。
生活の中で緊張感を感じる場面があっても、どの神経が働いているかわかると、その緊張感が少し緩みそうです。
何よりハルさんの雰囲気でリラックスや安心感を感じてこの時間を過ごせました。 ありがとうございました。
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ポリヴェーガル理論は今までのアプローチではうまくいかなかった方にも、
とても知って頂きたい内容です。
もしまたリクエストなどがあったら、開催したいと思っています^^
もしポリヴェーガル理論のことをもっと知りたいという方がいらっしゃったら、
最後にオススメの本をご紹介させて頂きます。
浅井咲子さん著