奇跡の一本松をご存知ですか?
2011年3月11日の東日本大震災で、大津波の被害にあった岩手県の陸前高田には
約7万本の松が2キロに渡る砂浜に茂っていました。
その高田松原の松もほぼ流失した中、唯一耐え残ったのが「奇跡の一本松」です。
私の父は岩手県出身だったため、私も中学生までは毎年夏と冬に岩手に帰省し、
夏には必ず家族と祖父母みんなで高田松原に海水浴に行っていました。
震災では私の親戚も犠牲になり、毎年遊びに行っていた祖父母の家も流されてしまいました。
あれから11年経ち、東京の紀尾井清堂で「奇跡の一本松の根」の展示がされていると知り、
昨日母と見に行ってきました。
この根は今は分解され、保管されていたそうですが、今回の展示のために組み立てて、
写真の通りの迫力の根を見ることが出来ました。
こんなに立派な根を地中にしっかりと生やしていたから、あの震災に耐え忍んぶことができたんでしょう。
7万本も生えていた中、一本だけ倒れずに残っていた奇跡は、
震災で被害に遭われた方の希望になったことは間違いありません。
この根から上の木と枝は、人々の支援と、職人さんの想像を上回る苦労と技術で保管できるように施され、
今はもともと奇跡の一本松が生えていた高田松原で保存されています。
私は震災後に一度だけ岩手を訪れましたが、幼い頃に遊んでいた高田松原の松が、
今はシンボルとなったこの奇跡の一本松だけになっているのが信じられません。
展示ではこの松がどのような経緯で保存されることになったかドキュメンタリーも上映していましたが、
見る影もなくなってしまった高田松原に奇跡の一本松が戻ってきたことで、
地域の人たちは心を照らされているようでした。
忘れてはいけないとうのはあまりにも簡単な言葉かもしれません。
現在進行形で、私たちは何が起こるか分からない一瞬一瞬を生きています。
忙しい毎日の中でもそのことを時々思い出して、
今を噛み締めて味わって生きていきたいと思います。
「奇跡の一本松の根」は来年の2月9日まで紀尾井清堂で展示されています。
予約をすれば無料で見ることが出来るので、機会があればぜひ見に行ってみてください。