前回のブログの続きです。
今回はカウンセリングや心理セラピーの場で起こりがちな、「決めつけ」
をテーマにしていきます。
心理カウンセリングの場では、クライアントさんから得られた情報によって
問題となっていることの原因や解決に向けてのアプローチの「見立て」をするという
こともあると思います。
特に専門に訓練を受けた臨床心理士さんや公認心理師さんの世界では、
見立てをすることは当たり前なのかもしれませんが、私はそれ以外の心理セラピストと名乗る人たちや、
私のように波動機器を使ったセラピーを提供している側として、
私の個人的な思いを書いていきたいと思います。
今までのブログにも書いてきましたが、私はあらゆるセラピストは
セラピスト自身も定期的にセッションを受けることが大事だと思っています。
私も今まで何人もの心理カウンセラーさん、セラピストさんにセッションをしてもらいました。
ただセッションを受けた時に「この見立てはセラピストさんの思い込みでは?」
と思ったことが何度かありました。
特にとても頼りにしていて定期的に通っていたセラピストさんがいたのですが、
長く付き合っているからこそセラピストさんの中の「私像」や「私のストーリー」が
固まってしまって、一面しか見えなくなっているのではないかと思ったことがあったんです。
「決めつけ」というと言葉は強いかもしれませんが、セラピストの「思い込み」
はクライアントさんの課題を解決する助けになりませんし、クライアントを
傷つけることもあります。
私もそのことで、信頼していたセラピストさんとのラポール(信頼関係)が切れてしまったことがありました。
それは私が前職で半年以上人間関係に悩んでいて、
前述の長いお付き合いのセラピストさんの所に定期的に通っていた時のことです。
上司との話し合いも何度も重ねて、自分と向き合いながら繰り返し思いとどまっていましたが、
「これはもう退職した方が良い」と決意する出来事が起こり、
私の迷いも吹っ切れて、そのことをセラピストさんにお話ししたことがありました。
私としては、後押しをして欲しかったんだと思います。
ところがびっくり、私がなんと言っても、そのセラピストさんはセッションの間中、
「本当に辞める必要があるのか」「辞めない方が良い」という方に私を引っ張るのです。
そのセラピストさんの中では今までの私のプロセスの見立てとして、辞めない方が良いという
結論があったのだと思いますし、その方自身が独立したセラピストとして活動して
いたので、「独立するのは大変だ」という親心のようなものもあった気がします。
私は心理セラピストというものはクライアントさんに「どうすれば良い」というアドバイス
をする立場ではないと思っていますし、個人的な意見に引っ張るものではないと思っているので、
そのセラピストさんの様子に大変ショックを受けました。
私が何を言っても「辞めない方が良い」という方に誘導されているように感じたので、
私はとうとう「私が辞めるのはそんなにいけないことですか?」と言って
セッションの場で泣き出してしまいました。
その言葉と私を見て、セラピストさんもハッと我に返ったようでした。
今思えば、それは天からの「お試し」のようなものだったのかもしれません。
ある意味では、一番賛成して欲しかった信頼していたプロフェッショナルな存在に、
「辞めない方が良い」と言われたのですから。
それでも私の「退職する」という決意はまったく揺らがず、
今ではその選択肢で良かったと思うことはたくさんあっても、後悔したことは一度もありません。
ただ私の中では、そのセラピストさんへの信頼がぷっつり切れてしまったのは
お互いにとって残念なことでした。
セラピストがクライアントさんのイメージやストーリーを固めてしまうと、
それ以外の選択肢が見えなくなる恐れがあります。
友人同士の会話では相手が語る物語に没入して、アドバイスをしたり、
一緒に怒ったりするのもある種の「癒し」になると思います。
それでもセラピストは中立でいるからこそ、「クライアントさんには見えていない
課題や盲点」が見えてくるのではないでしょうか?
もちろん人間である限り、まったく偏りなしに「ありのままのその方」を見たり
お話しを聞くのは難しいこともありますが、
クライアントさんのペースや気持ちを尊重して、セラピストは常にニュートラル(中立)
を心がけることで、クライアントさんが安心して本心を伝えられたり、
クライアントさん自身が考えて、課題を乗り越えるサポートが出来ると私は思っています。
今回は私の経験からも、セラピストにありがちな「決めつけ(思い込み)」をテーマに
自戒をこめて書いてみました^^