心理セラピーとは? 自分の感情を抱きとめ、内なる静けさを取り戻すIFSの癒し

FSセラピーで感情を抱えておける心の器を育む

最終更新日:2025年11月12日

 

最近のブログで、私がIFSという心理セラピーを提供し始めたことを知った方もいると思います。

日本では「心理セラピー」という言葉自体、あまり馴染みがないかもしれません。

私は心理セラピーを知った2013年以来、定期的にセラピーを受けています。

セラピーで得た恩恵は数々ありますが、ここ数ヶ月でまた、過去の自分との大きな変化を実感しました。

 

心理セラピーとは?カウンセリングとの違い

心を扱うというと「心理カウンセリング」を思い浮かべる人も多いかもしれません。

カウンセリングは「話を聞いてもらう」というイメージが強いかと思います。

それに対して心理セラピーとは、安心できる場で感情や心の反応をセラピストと共に扱い
ただ話を聞いてもらうだけではなく、心の深い部分にある感情や体感に丁寧に寄り添いながら、
その人が安心していられる心の土台を広げていくことを大切にしています。

 

ポリヴェーガル理論と「耐性の窓」

そのときに重要になるのが、ポリヴェーガル理論でいう「耐性の窓」という考え方です。

今、「心」を扱う業界ではポリヴェーガル理論の理解は欠かせなくなっています。

ポリヴェーガル理論は、アメリカの神経科学者スティーブン・ポージェス博士が提唱した
「自律神経と心の働き」に関する理論です。

簡単に言うと――
人の安心・不安・緊張は、自律神経がどう働いているかで変わるということです。

この理論を理解するにつれて、私も自分との繋がりがさらに一段と深くなりました。

 

変わったつもり? 本当に変わった?

ひとつ言えることは、私たちは「頭の理解」や「行動を変えること」だけで変わったつもりになっても、
真の意味では変わっていない可能性があるということです。

なぜなら私たちは、自分の内側や外側で起こることに対して、
自律神経という自分ではコントロールできない領域で体が「反応」しているからです。

その「反応」が変わらないと、本当に「変わった」とは言えないのです。

 

「感情を抱えておける心の器」とは?

心理セラピーの目的の一つは、ポリヴェーガル理論でいうところの「耐性の窓」、
つまり心と身体が安定していられる範囲(ゾーン)を広げることです。

そして、日常で揺れることがあっても、安定した状態に戻れるようにすることです。

「耐性の窓」とはつまり――
さまざまな感情を抱えておける心の器と言っても良いかもしれません。

この器が小さいと、些細なことに反応して、器があふれて混乱しやすくなります。

反対にこの器が大きいと、いろいろな出来事に対して心が反応しても「感情を受け止められる」余裕が生まれます。

また一時的に感情が乱れても、安定した状態に容易に戻ってこれる「レジリエンス」が育まれていきます。

器が広ければ生きやすくなるだけでなく、チャレンジもしやすくなります。

さらに、自分や他者との温かいつながりも感じやすくなります。

 

変化を感じた私の体験

私はここ数ヶ月、自分の「感情を抱えておける心の器」がとても広がっていることに気づきました。

まず一つは、今年の5月から英語で受講していたIFS(内的家族システム療法)のトレーニング中に、それを感じました。

このトレーニングでは3人一組で順番にセラピーの練習をする機会があり、
英語でセッションをしなければなりません。

チャレンジングなのはわかっていて飛び込みましたが、実際にその場面になると緊張度はMAXまで高くなることもありました。

正直、トレーニング途中で「逃げ出したい」と思った瞬間まであったんです・・・!

それでもそんな自分をちゃんと受け止められている私もいて、
極度の緊張から安心安全の感覚に戻ることを繰り返し、乗り越えることができました。

7月〜8月にアシスタントに入ったIFSのトレーニング中も、いろいろなことがありました。

お世話になった方の突然の訃報が飛び込んできたり、
大切なうちの猫が突然倒れてパニックになったことなど、とても感情が乱れる出来事もありました。

そんな中、いろいろな役割や責任があるアシスタントをするのは簡単ではありませんでしたが、
どこかで常に「落ち着いている私」の存在も感じられ、無事に務め終えることができました。

こうした経験を通して、セラピーを継続してきたことが、私の内側に大きな変化をもたらしたことを実感しました。

「感情を抱えておける心の器」が確実に広がっているのです。

 

心理セラピーは誰のためのもの?

もしかしたら心理セラピーは、トラウマがある人や、弱い人のためのものだと思っている方も多いかもしれません。

もちろんトラウマがある人にもセラピーは有効です。

でもそれだけではなく――
あらゆる出来事や感情を安心して受け止められる「器」を広げられることが、心理セラピーの大きなメリットです。

安心安全や心の平安を感じる「器」は、人生のあらゆる場面であなたを助けてくれます。

人生は予測不可能であり、外の世界の変化をコントロールすることはできません。

けれども、自分の反応だけは変えることができます。

 

心の器が大きいと人生は広がる

人生は決断の連続です。

小さな器、言い換えると限られた視野や選択肢からではなく、
「落ち着いた器」から決断できるようになると、とても生きやすく、自由度が広がります。

内面を見ることに恐れがある人もいるかもしれません。

でも、その先には一生に影響する大きな恩恵があります。

また潜在意識にある「自分でも気づいていない自分」を深く理解することで、自然と自己愛が育まれていきます。

だから私はセラピーを受けることがやめられません。

 

IFSの観点から見た「心の器」

IFS(内的家族システム療法)の視点から見ると、
この「感情を抱えておける心の器」とは、
私たちの内側にある Self(セルフ)エネルギー のことを指します。

セルフとは、穏やかさ・思いやり・好奇心・明晰さなど、
誰しもに本来備わっている“自我のない意識”です。

心の中には、さまざまな感情や反応を持つパーツ(内的な登場人物)が存在しています。
不安なパーツ、怒っているパーツ、頑張りすぎるパーツ……
それぞれが「自分を守ろう」と懸命に働いているのです。

セルフエネルギーが十分にある時、
これらのパーツの感情を安全に抱え、理解し、
優しく見守ることができます。

つまり、セルフのエネルギーが満ちているほど、
「心の器」が大きく、安定していられるということです。

感情に飲み込まれるのではなく、
その感情を持つパーツを セルフの視点で見守る ことができるようになると、
自然と安心感とレジリエンスが育まれていきます。

IFSが目指しているのは、
このセルフエネルギーを取り戻し、
内側のシステムが調和すること。

それが、あなたの人生全体に
深い安心感と安定をもたらしてくれるのです。

 

最後に

私が提供している IFS(内的家族システム療法) は、
とても優しく、そして深い心理セラピーです。

これまで、自己啓発やカウンセリングでは
なかなか楽になれなかった方も、
IFSを通して “内なる世界” に出会うことで、
新しい安心感や自己理解が生まれるかもしれません。

感情を抱えておける「心の器」が広がると、
人生の見え方が穏やかに変わっていきます。

自分の中にあるさまざまな声を理解し、
セルフの視点から優しく寄り添うこと。

それは、
「自分と仲直りし、
 自分を味方につけて生きる」 ということでもあります。

もし今、あなたの中に
葛藤する声や、分かり合えない部分があるとしたら、
それは癒しと本来の自分へと繋がる入り口かもしれません。

IFSは、その扉を静かに開くための
優しく深いアプローチです。

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